2020年2月22日土曜日

078 境界と越境、空中越境に注意


境界立会でのはなし



























以前、近江八幡市で古い民家の
敷地の官民境界立会を行いました。

「国や地方公共団体が所有する土地」
「民地、民有地」との境界を定める行為を
「官民境界確定」と呼び
その土地の所有者だけでなく
自治会の人や近隣の方も一緒になって
境界を決めていきます。

その境界立会において、
市道との官民境界を決める際に
道路に沿って建てられている
「塀(へい)」と道路の舗装部分の
境目が境界であると
市役所の人が当然のように主張します。
周辺も同じように確定しているようです。

ところが隣地を所有されるご老人は
「境界は笠木の先を垂直に降ろした線だ」
と主張されました。

笠木は道路に5センチくらい飛び出していました。

地元の古老衆によると、塀を建てる際には
笠木の先に境界に合わせて境界から
塀本体は下がって建てる
「不文律、慣習」がたしかに
この地域にはあったそうです。

ただ、この時には既に整備されている
周辺道路と同じ境界で決めようかと
話し合いがなされて、笠木が道路に
越境状態とはなりますが、市役所が
主張する道路と塀の境目が官民境界と
決められました。

境界は足下だけでなく上も確認する必
要があると勉強になる事例ですね。

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宅建試験によく出る問題

※2020年民法改正前の記事です。
203 相隣関係に関する民法改正 | LICレポート (oumilic.blogspot.com)


越境と言えば、民法で頻出なのが
民法第233条です。

(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第233条

・隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、
 その竹木の所有者に、その枝を切除させる
 ことができる。

・隣地の竹木の根が境界線を越えるときは
 その根を切り取ることができる。


よくクイズにもなるので
ご存じの方も多いのでは?

この条文で困ったケースとして
2017年に大阪府の高槻市で
隣地から巨木が越境してきて
危険な状態だとニュースになりました。

このときには隣地所有の宗教法人が
すぐには伐採に応じませんでした。

この記事を書きながらどうなったのかと
検索してみると、高槻市議さんのブログに
続報が書かれていました。

https://go2senkyo.com/seijika/51510/posts/75533


「木が大きくなるまで放置した
 住民側の 怠慢を理由に、
 宗教法人が伐採費用170万円のうち
 20万円を住民側に負担するよう
 主張したところ、住民の方も
 「恐いことのリスクには変えられない」
 とこれに応じ、示談が成立。」

だそうです。
なにはともあれ解決できて良かったですね。

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今週の行政への質問


民法には「時効取得」という
法律があります。以下条文です。

第162条

・二十年間、所有の意思をもって
 平穏に、かつ、公然と他人の物を
 占有した者は、その所有権を取得する。

・十年間、所有の意思をもって
 平穏に、かつ、公然と他人の物を
 占有した者は、その占有の開始の時に
 善意であり、かつ、過失がなかったときは
 その所有権を取得する。

とされています。

財布を拾ったときよりも
ずいぶん長くなりますね。
(遺失物は3ヶ月だそうです。)




今週は大津法務局へ、
この時効取得における登記について
電話質問しました。

(大津法務局との質疑応答)

Q. 側溝などで境界を明確にしている
  土地で、隣地所有者の建物の屋根が
  私の所有地に越境している。
  隣地所有者が20年を超えたから
  屋根の下の土地を時効取得すると
  連絡が来た。
  話し合いに応じないなら
  勝手に登記すると主張されている。
  私の土地が勝手に分筆して
  登記されるようなことがあるのか?

A. 時効取得による土地の分筆登記には
  対象となる土地所有者である
  あなたの承諾か、裁判による判決が
  必要です。
  一方的な主張や判決を得ない証拠だけで
  登記されることはないので
  安心してください。

Q. 屋根や樋やベランダ、室外機の
  空中越境を見逃していると時効取得は
  成立するんでしょうか?

A. そういった話は聞いたことがありません。
  法務局に来て頂いたら無料の法律相談も
  紹介しますので相手の一方的な主張に
  応じてしまわないで相談してください。


今回も明確な返答頂きました。
何度か法務局に相談に行っていますが、
いつも親切でわかりやすく説明頂ける
印象です。

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空中越境を理由に時効取得?


前項の空中越境の話は架空の話ではなく
彦根出身の知人から受けた質問でした。

少し以前のことだそうですが
ご実家の隣地所有者が家を建てた時
屋根が越境していたのを
「少しくらいなら」と黙認していたら
屋根が越境している部分の土地の時効取得を
主張されたそうです。

不動産実務では越境物が有り
その越境物を容認する場合には
境界の確定を行って越境範囲を確認し
将来の建替え時には越境を解消する覚書を
取り交わすことが一般的です。

このケースでは、

境界に水路があり境界が明確なのに
わざと屋根を越境させて家を建てて
土地の時効取得まで主張してくる

と言う聞いたことがない
悪質なケースでした。

相手側には司法書士もついていて
前述の通りに時効取得で勝手に
登記すると主張されたそうです。

本当にそんな例が有るのかと
知り合いの司法書士さん5人と
土地家屋調査士さん2人に
質問してみました。

色々なケースを想定されるのか
先生方の回答がバラバラだったので
法務局に質問した結果が
前項になります。

ベテランの不動産屋さんに尋ねると
この隣地の人のやり方では
時効取得以外の問題が有るよね
とのこと。

質問していた東京の司法書士さんから
調べたら空中越境では時効を認めない
判例があったよと連絡がありました。

ネットで見ることが出来る
裁判所の判例集からは、
この判例自体は見つけられませんでしたが
弁護士ドットコムに判例の引用が
載っていました。

平成19年に地裁判決があり
どうやら相手の主張には
無理があるようです。

さてこの隣地とのもめ事は
計算間違いでまだ19年しか
経過していないのに時効取得を
主張したことがわかって
解決したそうです。

嘘みたいな話ですね。

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民法改正で判例がない


さてもうすぐ民法改正です。

空中越境で東京の先生が
判例を教えてくれたように
法律で解釈があやふやな部分については
これまでの「判例(はんれい)」が
重要なのだそうです。

4月1日から民法改正になると
改正された部分については
その判例がまだありません。

未だに4月1日以降に利用すべき
売買契約書のひな形も送られてきていない
不動産各協会なので、色々揉めることも
多くなりそうで、今から憂鬱です。