2026年3月20日金曜日

391.競売のはなし、後半

 

オススメの不動産勉強法は?と尋ねられたら、競売物件の資料「3点セット」をたくさん読み込んでくださいと伝えています。

三点セットはこちらから



練習用に1物件サンプルを
※画像クリックで3点セットが開きます。


尼崎支所 令和7年(ケ)第42号




尼崎支所 令和7年(ケ)第42号

阪神本線「大物駅」徒歩4分
平成30年築の木造3階建アパート
1LDKが9戸です。

こんな都心の築浅物件、安かった欲しいですよね?入居も良さそうです。


住所:尼崎市大物1-12-3
googleストリートビュー



皆さんなら幾らで入札しますか?
エルアイシーの競売代行





今日は、そんな競売物件落札後の処理の後半です。


2021.6.7 引渡命令送達
2021.6.18 送達証明・執行文付与


落札後すぐに書留やレターパックを送付して連絡を取ろう(強制執行せずに動産処分許可をもらうか動産の買取をした方が早いから)としていたのですが、占有者が受け取りませんでした。
この送達証明が発行されるのか不安でした。

今回は裁判所からの引渡命令が無事占有者へ届いたようで裁判所に確認すると送達証明書が発行されました。

この送達証明書に強制執行の執行文が付与され、やっと強制執行です。


(強制執行のポイント)
今回は張り紙や連絡がつかない
怪しげな占有者などがあり
教科書通りに強制執行手続きに
入りましたが、誰が得する
こともないので、できるだけ
強制執行は避けたいものです。

但し、競売のメリットは
強制執行しやすいこととも
言われています。

※競売は引渡命令に判決不要。
 公売などは民事執行法の対象外で
  引渡命令には判決が必要。

この引渡命令送付の時から
担当の私が便宜上債権者代理人に
なったのですが、相手方に
自宅住所がわからないように
会社を連絡先にしたり
執行官さんが配慮してくださったので
助かりました。



2021年6月21日
 予納金納付、強制執行依頼


当然、強制執行には費用がかかります。まず執行官さんにお願いする費用
「執行官予納金」を振り込みました。
金額は12万円でした。

(費用のポイント)
競売のリスクは諸費用がどれだけかかるかわからないこと。費用の大半は残置物の処分費用になります。



2021年7月2日催告
強制執行の前に、「もうすぐ強制執行しますよ」と占有者を訪ねるのが「催告」です。

「執行官」
「立会人」
「鍵屋」
「(専門の)運送業者さん」

と現地を訪れます。 鍵を開けて中に入り、運送業者さんが強制執行の費用を見積もりします。


(催告のポイント)
占有者と連絡が取れたらたくさんの人が乗り込んでくる催告の段階で話し合いで出ていってくれることが多いそうです。

残置物のみの今回はそれもかないません。



2021年7月
  強制執行の準備


強制執行を前にいくつか準備が必要です。

運送会社さんと費用の打合せ強制執行で搬出した動産の保管倉庫の準備、現地にリース品らしきものがあればリース会社へ連絡して(買受人が連絡しないといけません)断行日に引取の依頼。

今回は自動車2台、自動販売機、セコム機器、ユニマットの給茶機、複合機があり、調整に手間取りましたが、なんとか断行日に引取りの手配が出来ました。

(準備のポイント)
執行官と立会人以外は買受人が手配しないといけませんのでご注意を。 専門の運送会社さんに依頼すると色々教えてくれます。




2021年7月29日断行

執行官さんの日程がパンパンでなかなか予定が入りませんでしたがやっと「不動産引渡強制執行事件」「明渡執行」の断行です。

200坪を超える倉庫・作業所はある日突然営業停止して従業員さんも中に入れなくなりいろいろな残置物がそのまま大量に残されていました。

今回も催告の時と同じメンバー

「執行官」
「立会人」
「鍵屋」
「(専門の)運送業者さん」
が作業します。

まず、鍵屋さんが鍵を交換します。こちらは現地現金払いで1.5万円かかりました。この鍵は買受人のものです。

通常の強制執行では動産を別に準備した保管倉庫へ運び出すのですが今回は「現地保管」をお願いしました。

代金納付

登記上は自分のもの、 占有者有り

強制執行断行

自由に使えるようになった

そこに動産を保管
(売却日までは倉庫には立ち入らない)



といった感じです。倉庫代がかからない代わりにせっかく強制執行しても
動産がそのままなのでまだ自由に使うことが出来ません。

当日の作業では大量の動産を移動して目録に控えて細かいものは全て段ボールに詰めるので専門の運送会社さんが
10人の作業員さん(近所の大学生が多かったです。)を集めて9:30から18:00までかかりました。

この日に鍵を付け替えて建物の管理者も私になります。

(断行のポイント)
私たちが入札する競売物件ではほとんど強制執行には至らす、私自身、約20年ぶり2回目の強制執行でした。

運送業者さんの費用は今回の断行で約30万円かかりました。 運送会社のベテラン社員さんがほとんど取り仕切って、10人も作業員さんが来たので
しょうがないですね。一日で終わって良かったです。



2021年9月2日
   売却日


倉庫に保管している動産は一定期間保管した後に一括売却になりました。

裁判所に公告が出されたので1社が機械だけを引き取りたいと現地に来ていました。

大量の産業廃棄物があったので結局全て現地代理人の私の名義で買い取ることになりました。

買取費用は現地倉庫の保管費用と同じ価格にしてもらえたので、費用ゼロで
現地の大量の動産が名義上は会社の代理人として現地に出向いた単なる従業員の私のものになってしまいました。

こんなはずではなかったのですが。

この後は、占有会社の元従業員の方に連絡して私物を引き取ってもらいその後に運送会社さんに一括で引き取ってもらいました。


危険薬品などについては専門業者に処分を依頼して裁判所に報告する必要があり300万円ほどの処分費用と占有会社が帳簿類を残していったのでその保管費用として20万円がかかりました。

今回は全て教科書通りに処理して良いと会社から指示があったので業者に一括して処分を依頼しましたが大量の事務所机など換金できるものもたくさんあったので自分で丁寧に処理すれば
この費用はかなり低減できたと思います。

(動産処理のポイント)
強制執行の費用のほとんどがこの動産処分の費用になります。残置物の量を見て入札することが競売では重要です。

誰も文句を言ってこなければ強制執行の手間をかけずにドンドン処分して問題ありません。

但し、 勝手に処分した動産・残置物が価値のあるものだと訴えられた場合は賠償義務があるのでこんなに余分な時間と手間と費用がかかる強制執行を
行っています。


【後日談】
本物件を落札後すぐに本物件に入札していた取引先から

「いくらでも良いから
 絶対に買いたい。残置物の
 処理まではエルアイシーで
  やってから引き渡して」

と連絡があり、しょうがないので売却を前提に話を煮詰めていましたが強制執行実施後に現地案内したところ「天井が低くてリフトで作業できない」と断りがありました。

競売は現地確認できないことがやはりリスクですね。

この取引先さんにとっては落札できなくてラッキーでしたね。




【後後日談】

この倉庫は自社利用のはずが、次々とたくさん反響があって断り切れずに、結局は某上場企業グループに借りてもらっています。競売前に放置されていたためか、修理が絶えませんがレジ(居住用)以外の収益物件を保有できて良かったです。



【前回の訂正】

売却許可決定後に、落札者に許可される事件記録の閲覧ですが、最近は最高価買受申出人(入札順位1位の人)は、開札後から売却許可決定までに定められた1週間の間にも閲覧が可能になりました。




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