「囲繞地通行権」のはなし本日は、久しぶりに「囲繞地(いにょうち)」に関わる案件に触れる機会があったため、以前のレポートをリライトしてお届けします。 不動産実務において、最も感情的になりやすく、かつ法的な解釈が問われるのが、この「通る・通らせない」の論理です。 1. 突然届いた「内容証明郵便」ある日、弊社が取得したばかりの土地に対して、一本の内容証明郵便が届きました。差出人は、隣接する「無道路地(袋地)」の所有者。その内容は、「囲繞地通行権」を主張し、車両が通行できる範囲を開放せよ、という強い要求でした。
2. 囲繞地通行権の「原則」と「限界」民法上、袋地の所有者は公道に出るために囲繞地を通行する権利が認められています。しかし、これは「何でもあり」の権利ではありません。
3. 「現場の真実」と「法的な解釈」の乖離今回のケースを精査したところ、いくつかの事実が判明しました。
つまり、厳密な法解釈に照らせば、弊社の土地が「唯一絶対の囲繞地」であるか、あるいは「車両通行まで認められるべきか」には大きな疑問符がつく状態でした。 4. 「トラブル上等」ではなく「出口」を見据えた決着いきなり内容証明を送りつけてくるような相手に対し、こちらも法的に争う姿勢を見せることは容易です。しかし、不動産実務において重要なのは「勝ち負け」よりも「資産価値の最大化」です。 弊社は、将来の分譲計画に支障が出ない範囲で、農機具が通れる程度の通路を確保する譲歩案を提示しました。 【結末】 最終的には、この隣地の方とも足並みを揃え、一帯を分譲マンション用地として売却することに成功しました。あの時、感情的に対立して裁判沙汰になっていれば、このスムーズな売却(利益確定)はあり得なかったでしょう。 まとめ囲繞地通行権の問題は、一度こじれると何世代にもわたる遺恨を残します。 「通らせろ」という通る側の論理も、「勝手に通るな」という通られる側の論理も、どちらも一理あります。しかし、我々不動産専門職が介在する価値は、法的な白黒をつけることだけではなく、 双方が「得をする出口」をデザインすることにあると再認識した事例でした。 隣地との関係性に不安がある土地の査定や売却も、ぜひお気軽にご相談ください。 |
